窓回居について
このプロジェクトと住宅についての概要です。
【ヤドカリプロジェクト】
このプロジェクトは建築家が住宅、建築を購入し、自分で住みながら、建設・改修を行い、家賃分として毎月貯めた金額が購入・改修資金を超えたところで貸し出し、また別の物件を購入して移り住んでいく、というプロジェクトです。
僕がこのプロジェクトを始めた以下のモチベーションをもってました。
・建築家は実際の建築物を見せて、購入者・住み手にプレゼンテーションができない
・家賃って自分の収入割合の中で高すぎる
・まず建築家が自分の身体性や思想をもとに好き勝手作ってみた方がコンテクストに対して素直なのではないか
・大家って都市に対する権利が強い
・設計時と住んでからのギャップ
こういった疑問や不満から自分が大家になって、建築を貸し出すことで都市に対して関わりを持ち、可能性がある人々に建築を安く貸し出すことによって応援できないか、と考え、今に至ります。
これが進んでいけば向こう三権両隣を一緒に設計したり、道や隙間まで設計の対象にできたり、見たことのない複合用途の建築などが生んでいけると思いました。
特に僕がやりたいのは体育館が共用部の集合住宅です。(バレーボールが好きなので)
【窓回居】
この住宅の説明です。
川崎市川崎区の港湾部近くで再建築不可物件で築60年を超えている物件を不動産サイトで見つけ、500万で購入しました。
このあたりは木造密集地となっており、この住宅も旗竿地(というより未接道なので旗地)で道路より奥まったところにあります。
↑2014年5月 改修前外観
↑2014年5月 改修前2F内観
↑2014年5月 改修前1F玄関
この住宅はいつ建てられたのかが不明です。
大工さんが自己居住用に建てたのが始まりだ、と前の前に住んでいた方が聞いたことがあるようです。
そして度重なる改修が行われており、その度に窓が追加されていたようで旗竿地とは思えないほどの明るさです。
この状態を僕たちは肯定し、まず耐力壁を真ん中に集め、カーテンウォールのように既存の外壁を扱い、開口を残すことを考えました。
耐力壁は筋交いをたすき掛けし、かつ15×45の木材を60mmピッチで固定し、ルーバーとしています。ルーバーは法規上では計算できないですが実質的には構造的に効果があります。
ルーバーとなることで透ける耐力壁となり、窓の印象を強めます。
窓が取り付く壁は漆喰で白く仕上げ、窓が回る住居となります。
工事はまだ途中ですが、以前の工事の様子も少しずつ上げていきます。